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【小説】もし日本の総理大臣がPOP広告を描いたら〔第4章〕1
〔第4章〕へ突入! 「高大は自らPOP広告クリエイターになろうとした」
第1節―1)
【あらすじ】 フランスでの首脳会談を終え、高大は日本に戻っていた。日本ではある現象が起こっていた。
フランスでの首脳会談を終え、日本に帰っていた高大は党の役員会に出席していた。
役員会はとても明るい雰囲気に包まれていた。これまで下がり続けていた山川内閣の支持率が初めて上昇していたからだ。
高大はこのような現象を氣にするような人物ではなかった。
しかし、近しい人物や党内の議員からは笑顔が生まれていた。この1年、納得のいくような経歴も実績もない高大がなぜ総理大臣に?という疑問が国民だけではなく野党や党内からも噴出しており、そのうえ内閣支持率は下がり続けていたからだ。
「総理もご存じでしょう(笑)2日前に発表された内閣支持率ですが、前回の18%から25%に上昇しました。まだまだ喜べる数値ではありませんが、まずは党内の雰囲気が明るくなったことを実感しているのは私だけではないはずです」
前内閣では政策会長であった伊藤が笑顔で言った。内閣改造後、幹事長に就任したため役員会の進行を担っていた。
役員会には高大と伊藤の他、事務会長、政策会長の計4人が出席していた。
〔党の新三役〕
◎幹事長 … 新任 伊藤 望 (他の派閥) 41歳
◎事務会長 … 留任 財前 圭祐 (真田の派閥) 63歳
◎政策会長 … 新任 作田 実 (園場の派閥) 58歳
新三役での役員会は今回で2回目であった。役員の顔ぶれをみると派閥政治を払しょくできたとはまったく言えない状況であった。
高大は総理大臣という立場で権力をかざし、自分に近い志の議員を登用することはいくらでもできたはずだ。
しかし、根本から高大の考えは違っていた。自分が権力をかざせば、また次の政権も同様なことをしてしまうことがわかっていたからだ。
派閥を壊すにはまずは自分が権力に頼らない思考と行動にこだわったのだ。
新内閣や新役員の顔ぶれからして高大に期待していた国民を納得させられなかったかもしれないが、先を考えての決断であった。
しかし、上昇した理由がひとつあるとすれば、それは野党からの大臣登用であったと分析する議員や評論家は多かったが、国民はそんな視点で山川内閣を支持していたわけではなかったのだ。
そのことが判明したのは1年後のことであった…。
ともかく理由は何であれ、役員会は1回目とは異なり明るさで満たされていた。園場を幹事長としていた前役員会と比較してもこの点だけは確実に勝っていた。
党の政策や運営、国会活動など前役員会のときは園場の意見が尊重優先されたが、新役員会では本来の議論が絶えなかった。
真田派で前三役からの留任である事務会長の財前圭祐も前向きな発言が目立っていた。園場派ではあるが新任の作田実も重要なポストに指名され、やる氣がひしひしと伝わってきた。
たった数パーセント上昇しただけで雰囲気を180度変えるパワーを持っている数字に高大は、最近、関心を抱いていた。
それは例の本に数字についてたくさん記されていたからだ。
【予告】 前役員会でも問いかけたように、高大は新三役に対しても用意していた。