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【小説】もし日本の総理大臣がPOP広告を描いたら〔第4章〕8
〔第4章〕 「高大は自らPOP広告クリエイターになろうとした」
第3節―3)
【あらすじ】 引き続き、高大にとっては学科試験よりも、実技試験が難関であった。
問題4は次のような設問であった。
◎以下の題材から1つを選び、ショーカードのPOP広告を作成しなさい。(与えられた題材のコピーは全て使用すること。字体、色使い、配列、イラスト、装飾デザイン等の挿入は自由です。)
指定された商品とコピーを題材に、B5サイズ(257mm×182mm)の枠にショーカードのPOP広告を作成するのだ。ショーカードとは小カードではなく、Showカードつまり価格ではなく本来備えている価値を魅せる商品説明タイプのPOP広告のことだ。
この問題からいろいろな用具を使ってPOP広告制作の技能が問われるのだ。問題3まではレタリングの基本、問題4以降はレタリングを含めた制作に必要なレイアウトやカラーリングが審査の対象となるのだ。これまで文字のレタリングを集中して取り組んできた高大に、足りないものがレイアウトの知識であった。
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見やすいレイアウトのルールを覚える
1枚の紙に、いかにポイントを整理して配置できるかがレイアウトの基本的なポイントです。そのためには、各要素をかたまりとして割り付けるとおさまりがよくなりバランスのとれたPOPができます。(p90)
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このページには基本の4種類のPOP広告が掲載されていた。種類によってそれぞれレイアウトが異なることが理解できた。高大はこの難関も例の本に記されてあったことでどうにかなる手応えを得ていた。
問題5は次のような設問であった。
◎以下の題材から1つを選び、プライスカードのPOP広告を作成しなさい。(与えられた題材のコピーは全て使用のこと。字体、色使い、配列、イラスト、装飾デザイン等の挿入は自由です。)
問題4同様に指定された商品とコピーを題材に、A4サイズ(297mm×210mm)の枠にプライスカードのPOP広告を作成するのだ。前述したようにショーカードとは商品説明タイプだが、プライスカードは価格訴求タイプで価格表示のあるPOP広告のことだ。
コピーの全体量(文字数など)が増えるため、より分かりやすく見やすいレタリングとレイアウトが求められるのだ。特に価格表示に使用する書体は練習が必要であった。角ペンまたは極太ペン(極太マーカー)が欠かせないツールになるのだ。
以前、高大がPOPを描いたときには極太マーカーを使わなかったが、試験のときにはそういうわけにはいかなかった。
極太マーカーについては、次のように記されていた。
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芯の先端が角ペンより幅広いのが極太マーカーです。角ペン同様、縦線と横線で持ち方を変えます。
描き方の基本も、角ペンと同じで、角度を調整しながらつねに一定の太さを保つように描きます。練習しなければ使いこなせない筆記具ですが、POPでのアピール力の強さは抜群です。(p93)
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さらに、本に解説されているとおりに取り組んでみた。
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◎縦線を引くときの持ち方
親指と人差し指で側面を挟んで持つ。
◎横線を引くときの持ち方
縦線と同じ持ち方で手首を90度回す。(p93)
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本には具体的に写真が掲載されていたので高大は持ち方についてはすぐに理解できた。
さらにページを進めていくと詳細に数字の描き方が記されていた。
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数字は、丸ペンより角ペンや極太マーカーで描く方が目立ちます。角ペンやや極太マー
カーは使い方が難しいため敬遠されがちですが、フリーハンドで楽の描ける方法があります。
1から10(ゼロ)までの数字は1筆または2筆のストロークで描けるのが特徴です。ひねりを加える部分で最初は抵抗があるかもしれませんが、手首と肘の動かし方を覚えると意外と簡単に描けます。
この描き方を覚えると、スピーディに描くことができ、線の幅が広いので数字の注目度が高く、訴求力アップにつながります。(p97)
それぞれの数字の詳しい描き方はp216~217をチェック!!
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ひねりの部分が最初は慣れていないこともあり難しかったが、徹底的に繰り返すことで
克服できた。
練習をしながらこの数字にはパワーを感じていた。役員会での数字の問いかけとともに表現力の強化につながることを信じていた。
【予告】 実技試験の中でも最大の難関が最終問題であった。