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【小説】もし日本の総理大臣がPOP広告を描いたら〔第2章〕 3
〔第2章〕 高大は日本のPOPに取り組んだ。
第2節―1)
【前項までのあらすじ】 「お客さまの定義」への解明に近づいたかに思えた高大であったが、また深い闇に閉ざされていった…
定例の党の役員会が行われた。大臣経験だけではなく、党の役員も経験したことの無い高大はいわば様子見の1年間であった。いつもどおり幹事長である園場シキロウ(そのば しきろう)が進行役を務め、今回のメイン議題である〝景氣回復策〟について意見を交わし合うはずであった。
しかし、この1年間の静観から高大が氣になっていたことがあった。これは役員会に悪影響を与えるだけではなく、日本の今後にとっても悪影響を及ぼしていると感じていた。
その原因をつくっていたのが園場であった。進行役と言えば聞こえは良いが他の役員の発言をまったく尊重せず遮ることさえあったのだ。さらにもう一つの原因が副総理の真田であった。幹事長と副総理の場の空気を重たくする意見の応酬が始まり、最後にはいつも相手の考えを否定するような始末であった。本来であれば一致団結して課題解決に取り組むべき場であり、やはり総理大臣の存在はとても重要であるのだが、高大はいわばお飾りであった。この一年間、たいした発言もすることなく経過していた。
―――なぜ同じ党の議員なのに副総理の真田と幹事長の園場シキロウは〝日本の景氣回復〟のために力を合わせてこの課題解決を進めようと考えないのだろう?
高大はこの状況下で景氣回復が進むとは思えなかった。
実は、園場は父と党首選で争い総理となった大理修(だいりおさむ)の派閥であったのだ。他の派閥の真田とは犬猿の仲であった。真田は党首選で次点であったので副総理となった。今の内閣は一年前に亡くなった総理の戸津善治(とつぜんじ)の組閣であったが裏には園場が糸を引いていた。園場の存在感はとても強かった。つまり今の内閣は、いや国会も園場の意のままであった。
その中で唯一抵抗を見せていたのが真田であった。
今回の高大の総理就任劇には園場の推薦があった。意のままに操れるだろうということと、一匹狼的存在の高大に一目置いていた園場は、今のうちに汚名の烙印をおさせ早いうちに自分にとって危険な目は摘み取ろうとしていたからだ。
なぜ高大に一目置いていたのかというと、政治思想が180度ま逆であったからだ。次のような構図であった。
〔幹事長 園場〕派閥政治である力の原理
vs
〔総理 高大〕志のあるものが政策を執り行う
今はまったく比べようがないくらいの勢力の違いがあった。
副総理の真田は、園場とは犬猿の仲であるとはいえ、政治思想は〝派閥政治である力の原理〟に変わりはなかった。唯一抵抗していたとはいえ同じ穴のむじなであった。
役員会は各役員の発言を一応伺い閉会となる。高大の発言はこの一年間ほぼ決まったセリフであった。
―――「幹事長に一任します」
ただこの日は違ったのだ。
【予告】 党の定例役員会は、これまでとは違う様相を見せ始めた。
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