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さぁ、朝3時33分起きの「POPスター」の出番です。2012年3月に出版した著書「繁盛店が必ずやっているPOP 最強のルール」(ナツメ社)はすでに第5刷!秘伝の「働くPOP」を地域や企業、個人へ伝授。年間150回を超えるセミナー活動は口コミで拡大中!「POPで日本の景氣回復!」を本氣で志します!

投稿記事一覧 > 【小説】もし日本の総理大臣がPOP広告を描いたら〔第3章〕3

このブログを書いている人

沼澤 拓也(ぬまざわ たくや) 沼澤 拓也(ぬまざわ たくや)

プロフィール

  • 株式会社ピーオーピーオリジン代表取締役
  • 札幌大学非常勤講師
  • POP広告クリエイター技能審査専門委員
  • 札幌商工会議所付属専門学校 非常勤講師
  • 商店街活性化推進調査研究チーム所属

等々、詳しいプロフィールは
オフィシャルサイトに掲載中です。

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【小説】もし日本の総理大臣がPOP広告を描いたら〔第3章〕3

2014.08.03
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〔第3章〕へ突入! 「高大は日本のキャッチコピーに取り組んだ」

第2節―1)

 【あらすじ】 閣僚懇談会後、高大が制作したPOPで盛会のうちに終了した。その後、野党から文部科学大臣に抜擢した眞鍋と懇親を持つことになっていた。

 

 

 終了後、閣議室では閣僚らが握手を交わしチームワークの高まりを高大だけではなく一部を除くほとんどが感じていた。

 この国難のときに与党も野党もない。〝日本人〟としてこの国を導いていく結束力が強まり始めていた。

 いつもだと閣議室はすぐもぬけの殻になるのだが、この日は高大が描いたPOPに感心が集中し、いわゆる盛会の様相であった。

 高大と外務大臣の渡、経済産業大臣の末広の3人は明日からのフランス歴訪にそなえ、この場をあとにした。財務大臣の金山だけはこの話題に関心がなくそそくさと閣議室を出ていった。

 午前中に準備は済ませておきたかった。なぜなら今日の昼食は、文部科学大臣の眞鍋と食べることになっていた。

 どうしても提案したいことがあり高大から誘ったのだった。今週はお互い予定が詰まっており、この時間にしか設定できなかった。

 

 コンコンとドアをノックする音がした。眞鍋であった。

 官邸の2階にある食堂から日替わり定食を高大の部屋、つまり総理大臣室に運んでもらい午後1時までのランチ&懇談となった。

 本題に入る前に、まずは食べながら所属している党内の反応や、文部科学省(以下 文科省)の状況など意見交換を行った。

 総理そして官邸サイドとしてサポート体制が万全であることと、野党という立場を越えて〝日本人〟として全力を出し切るよう伝えた。

 眞鍋もその思いを強く抱いており、高大の話を納得して聞いていた。

 そもそも野党である眞鍋を抜擢した理由は、高校中退というこれまでの経歴にあった。それでいて学習塾を立ち上げ、全国の各都市にそのネットワークを構築したその実践で培った経営感覚を今の学校教育の改革に生かしてほしいと期待をよせていたからだ。

 眞鍋は学校が嫌いなのではなく、体制が嫌いで退学したのだ。自分で変えようと強い志を持って行動したのだ。

 そして有言実行。それに加えて、この国のお客さまである〝次世代の子供たち〟視点という共有できる要点多く野党の大臣就任という高大の決断に至ったのだ。

 昼食も終え、話は本題へと移った。

 「今日は提案したいことがあったので時間を頂きました。結論から伝えます。これです!」と言いながら、先日何枚も練習したPOPを高大は机の引き出しから取り出し広げて見せた。

 「これは?」眞鍋が尋ねた。

 「私が今朝の閣僚懇談会で披露したPOPが完成するまで繰り返し描いたものです」

 「こんなに練習したのですか?」眞鍋は、20枚ほどあるPOPを見て驚いていた。

 「これを使って」POP同様、引き出しから取り出したマーカーを示した。

 眞鍋はそれを手に取った。高大は何も描かれていない練習用紙を渡すと、眞鍋は真似をするように文字を書き始めた。

 「どうも上手く書けませんね…」眞鍋が言った。

 「そうでしょう。書けないでしょう。なぜだかわりますか?」高大が尋ねた。

 「………?」眞鍋は悩んでいた。

 「われわれは学校で鉛筆や筆の使い方は学んできました。でもマーカーの使い方は一切学んでいないのです。これだけ世の中で販売されていて活用のシーンがあるのにです」

 「マーカーの使い方って違うのですか?」眞鍋が尋ねた。

 「そうなんです。鉛筆や筆とは線の引き方が異なるのです。知らなかったでしょう。もちろん私も知りませんでした。こっちの太い角ペンは持ち方からして違うのです」

 高大が例の本(第3章 ポイント4)を示しながらの解説と実際に線や文字を描くところを見て、眞鍋は感心していた。

 

 「学校の授業に〝POP広告〟を採用したいのです。主にマーカーを使って手描きで作成できるように育てたいのです。それで意見を伺えたらと考えたのです」

 「正直、マーカーの使い方を教えるだけでしたら授業に組み込む必要を感じません。ですが、もっとそれ以上の理由が総理にはあるように思います」

 「さすがですね!見抜かれていましたか」高大は感服しながら言った。

 そして本に記されていることを伝えた。

 

―――――――――――――――――――

POPは万能な広告ツールですが、有効に活用している店が多いかといえばそうとも限りません。POPを単なる広告としか考えていないと、現状に甘んじて新しい発見ができなくなってしまいます。~ ~POPをパートナーツールとして、小さな実験を試みるために使う方法の1つです。~ ~これは、POPが自前で制作でき、しかもコストがほとんどかからないパートナーツールだからできるメリットです。(p204)

―――――――――――――――――――

 

 「POPをつくると新しい発見ができるということですか?」眞鍋が尋ねた。

 「そうです!そして実験ができるツールらしいのです」眞鍋の好奇心をそそるように高大が言った。

 「実験をしながら、新しい発見ができる!」

 「教育のツールとして魅力的ではありませんか」また好奇心をそそるように言った。

 「やはりマーカーの使い方だけの単純なことではなかったですね。やりましょう!」

 思ったとおりの人財であった。他の議員にはできないこれまでの常識やしがらみなどで踏み込めないことも眞鍋なら即断即決でできると。

 「そこでぜひ行ってほしいお店があるのです。○○にある久住書房です。ここはすでにこの取組みを行っているのです。近隣の小学生や中学生が自分たちのおすすめしたい本を選び、そのPOPを作れるように教えているのです。店内には生徒たちが制作した手描きPOPが掲示されています」

 「見たいですねェー!わかりました。必ず行ってきます」

 「実際に見ると何か感じますよ。眞鍋大臣なら」

 他にも伝えたいことがあったが、時計が午後1時を示したので、次の懇談の機会を設定し終わりにした。

 

【予告】 翌日、高大は「ジャパン・エキスポ」出席のため、フランスへ向かった。