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【小説】もし日本の総理大臣がPOP広告を描いたら〔第4章〕2
〔第4章〕 「高大は自らPOP広告クリエイターになろうとした」
第1節―2)
【あらすじ】 新役員会が開催されていた。前役員会でも問いかけたように、高大は新三役に対しても用意していた。
たった数パーセント上昇しただけで雰囲気を180度変えるパワーを持っている数字に高大は、最近、関心を抱いていた。
それは例の本に数字についてたくさん記されていたからだ。
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人間は数字で表現されるとその商品により一層の興味がわきます。購入にいたるだけではなく誰かに語りかけたくなるのです。いわゆる口コミです。(p15)
人は数字に敏感に反応します。価格が気になるのは数字で構成されているからです。
価格以外にも、時間、回数、種類などに数字を使うことができます。意識して数字を入れることで、お客さまがつい気になるキャッチコピーをつくってみましょう。(p60)
売れていた商品の売上が落ち込む要因は、お客さまがその商品のことを忘れていたり、気がついていないケースがほとんどです。
商品のことを思い出させるために有効なのが、まずデータを開示すること。これまで売れていたわけですから、販売実績などのデータをPOPで発信しましょう(p15参照)。(p114)
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前役員会でも問いかけたように、高大は新三役に対しても用意していた。
「日本を代表する数字といえば何でしょうか?」
「………」
前役員会のときに〝この国のお客さまは誰ですか?〟と問いかけたことがあったので、伊藤と財前はそのときほど驚きはしなかったが、作田はすこし戸惑っていた。
「今度は〝数字〟ですか!」伊藤が言った。
「今度はとは?」作田は理解できずにいた。
「人口○○億人、GDP○○兆円の世界第3位の経済大国、国家予算90兆円あまり、国債発行額の○○兆円もそうかもしれないですね。最近だと消費税8%もありますね」財前は思い当たるところを次々とあげた。
何かが違うと高大は考えていた。財前の数字には自分が求める何かが足りないような氣がしていた。
そして、例の本に記されていることを述べた。
「〝人間は数字で表現されるとその商品により一層の興味がわく〟ようなのです。商品のところを日本に置き換えた場合、この国のお客さまである次世代の子供たちの興味がわく数字って何だと思いますか?役員のみなさんの立場で結構です。
そしてこの数字は、〝誰かに語りかけたくなる。いわゆる口コミ〟とあるのです。人口が1.2億人だとか、GDPが480兆円だとかはとても大事な数字には違いありません。しかし、次世代の子供たちが誰かに語りかけたい数字でしょうか?
われわらは大人視点であり、商売で考えるところの売り手視点なのです。だから、この国は繁栄しなくなった…」
「以前から総理がおっしゃるお客さまである〝次世代の子供たち〟の視点。これが再び日本を発展させるキーワードであるとともに、分かりやすく具体的に表現できる数字がもつ力をもとめているわけですね」
伊藤が高大の代弁者となって他の2人が理解しやすいように話をした。
「〝意識して数字を入れることで、お客さまがつい気になるキャッチコピーをつくってみましょう。〟とも記されています。先日閣僚らに担当省庁のキャッチコピーを調べることを指示しました。
キャッチコピーが単なるお飾りではなく、次世代の子供たちに届けるメッセージの役割を持たなくてはならないと考えています。
同様に役員のみなさんも、党を超えてこの国が発信しなければならない数字とキャッチコピーを考えてもらいたいのです」
高大は国民から期待され始めたことに感謝しながらも、おごることなく氣を引き締めることを新三役に告げて役員会を終了した。
【予告】 高大の決意!とは?