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【小説】もし日本の総理大臣がPOP広告を描いたら〔第4章〕4
〔第4章〕 「高大は自らPOP広告クリエイターになろうとした」
第2節―2)
【あらすじ】 宇宙飛行士を目指していた高大であったが…
「宇宙飛行士になります!」
合宿中の研究発表の際に決意表明をした高大であった。
今日はこの時と同じ目をしていた。伊藤はその目に本氣を感じた瞬間であった。
同じように宇宙飛行士を目指していたものもいたが、高大の目指すところは政治の世界だと皆が思っていたから、会員の皆が驚かされた。単に星が好きだから入会しているのだろうと皆は考えていたのだ。まさか!という思いを皆が共有していた。政治家の息子が政治の世界を目指すとは決まっていないが、祖父が総理大臣、このとき父は党の幹事長であった。政界のサラブレッドであったのだ。
この後、高大は宇宙航空研究開発機構(JAXA)が平成10年に宇宙飛行士を募集したときに2次医学検査と面接試験まで進んだ。しかし、最終試験に選ばれた8人の中には入れなかった。宇宙飛行士の募集は毎年あるわけでも、定期的にあるわけでもない。平成10年以降、平成20年まで実施されなかった。高大はこの間も働きながら宇宙飛行士を目指していた。
そんな折、父が倒れた。高大は政治の世界を目指すことになった。
「なりますって… 総理大臣の職はどうされるのですか?」伊藤はようやく反応した。
「もちろん辞めはしません。なぜなら、総理大臣だからこそ〝POP広告クリエイター〟を目指すのです!そして自ら日本の良質な商品やサービス、高度な技術力と誇れる文化を世界に発信するのです。そして何より、5万人を超えるPOP広告クリエイターに活躍してもらう。すでにそんな土壌があるのにこれを使わない手はないと思いませんか?」
「それはわかりますけど、総理自らがならなくても」
「いや!リーダー自ら取り組まなくてはならないのです」
高大は例の本の次のところを示した。
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POPへの「本気」をリーダー自らアピールする
3つ目のコツは、社長や店長などの上層部が、POPを最重要項目にすること。店の経営方針に掲げて本気で取り組むのです。上層部が率先してPOP制作のリーダーシップをってください。制作にかかわれないなら制作者をできるだけほめましょう。そうすれば、まわりのスタッフもどんどんやる気を出してくれます。他人任せでは決してうまくいきません。~ ~リーダー次第で、今すぐにでも変えられること!まずは、リーダーが積極的にPOP制作に参加し、本気を見せましょう。(p199)
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「他のことは組織が出来上がっているからその役割のリーダーに任せれば良いでしょう。しかし、これは新しい取り組みです。まだ何もない段階です。私の頭の中にしかその設計図はありません。細かな部分を説明しても伝わらない。自らが本氣で取り組む姿勢を見せることからスタートしないと尻切れトンボで終わってしまうのです。幹事長!まずあなたにこの本氣が伝わらなければこの取り組みは達成できないのです。志が同じのあなたに本氣を感じて頂けますか?」
「ひとつお聞きします。そこまでしてなぜPOP広告にこだわるのですか?」
伊藤はあの目を見たときからすでに本氣を感じていた。しかし、なぜPOP広告なのか?POP広告に何ができるのか?POP広告じゃなければならないのか?このことをしっかり受け止めたかったのだ。
【予告】 キーワード!「○○を想像」と「○○を創造」