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【小説】もし日本の総理大臣がPOP広告を描いたら〔第2章〕9
〔第2章〕 高大は日本のPOPに取り組んだ。
第6節―1)
【あらすじ】 伝説となった所信表明演説後、この国の〝お客様〟の定義が明確になったことで高大は早速行動に起こした。それは内閣改造であった。!
臨時国会閉会後、内閣改造に取り組んだ高大は、これまでの常識を覆すことばかりであった。派閥順送り人事を無視し志のある人材の一本釣り人事を決行したことと、さらに永田町だけではなく国民も驚いた野党も入閣させた。高大の問いかけに対して真剣に回答した野党の眞鍋忠司(まなべただし)を文部科学大臣、末広明菜(すえひろあきな)を経済産業大臣に登用した。
これに伴い党の役員人事にも変更があった。幹事長を務めていた園場が退くこととなったのだ。高大は留任を依頼したが園場から申し出があったからだ。
内閣改造に取り組んだこと、そしてこれまでの常識を無視した人事などが背景にあった。
大臣を大幅に入れ替えたわけではなかったが、意図したのではなく、志の高さの面で決断した結果、退いた大臣のほとんどが園場に近しい者たちであった。
園場としては腹が煮えくりかえるような思いがあったことは予想できた。以前、党内での園場の勢力は群を抜いていたので、高大にとって国会や党内の運営に難しい局面を向えることも考えられた。
しかし、高大はまったくと言ってよいほど、意に介していなかった。
なぜなら、国民がパートナーとして存在していたからだ。
そして、第2次山川内閣が発足した。
この内閣の人事が斬新であったことと、演説で国民に向かって問いかけたことで内閣支持率が多少上昇した。
しかし、高大は同様に意に介していなかった。
後日、留任の厚生労働大臣の兼行から「POP検定」の資料を入手した。その資料には次のように記されてあった。
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POP広告クリエイター技能審査試験は、昭和62年より厚生労働省の「技能審査認定規定」に基づき、唯一(一社)公開経営指導協会が厚生労働大臣の認定を受けスタート、2002年より当協会認定準公的資格試験として実施してきました。
この試験制度の目的は、小売業あるいは広範なサービス業における販売または販売促進業務に従事する職員の有するPOP作成能力を審査することにより、これらの職務に従事する人の技能の向上及び社会的、経済的地位の向上を図り、ひいては小売業、サービス業の発展に寄与することにあります。
店舗及びサービス機関におけるPOP広告を、販売促進ツール・コミュニケーションツールとして捉え、単なるレタリング技術のみではなく、幅広いPOP広告作成能力を審査するものです。
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その他、全国主要都市で年2回(2月、8月)開催されていることや、すでに5万人を超える合格者がいることもわかった。
「兼行大臣、有難う!おかげさまでよくわかりました。POP広告を描いている人口って思った以上に多いんですね」高大はとても驚いていた。
「いいえ、もっといると思います。資格を持っていない人の方が多いのではないでしょうか?」
「それってどういうことですか?」高大が尋ねた。
「資格がなくても制作のノウハウさえ理解してしまえば描くことは可能です。商店街やスーパーの店員さんはほとんど取得していないと思います」
「それもそうですね。この本をみて制作している店員さんもいるでしょうからね」
「描くことは可能であっても理論やコツを身につけた方が何事もプラスにはなります」
「そう考えると、いったい何万人がPOP広告を描いているのでしょうね…」
「少なくとも3倍は存在しているのではないでしょうか」
「かるく15万人は超えるということ?」
「潜在需要を考えると全国の小売店の数が数百万店ありますからすべての店舗で必要となると数百万人になります」
「それはすごいですね!」
「さらに調べた結果わかったことですが、製造メーカーはもちろん第1次産業、特に農業の農産直売所や道の駅などでの需要が増えているようです」
「ということは、先ほどの数百万店以外でも需要があるということですか?」
「そのようです。POP検定の受験者の大半は小売店の販売員さんのようですが、最近の傾向としては農家さん、建設不動産、保母さん、教員、警察、自衛官もいるそうです。なぜこんなに業種が広いのでしょうね。これには何か背景があるのでしょうか?」兼行が不思議そうに尋ねた。
「それはPOP広告がお店や企業の助っ人だからでしょう。特に手描きPOPは〝最強の助っ人〟だからね」高大は笑顔で本に記されていることをそのまま引用した。さらに
「POPは〝1人の店員に匹敵する働き者〟のようです」これも引用であった(笑)
引き続き、兼行大臣に情報収集を求めて、この情報交換は終了した。
【予告】 高大は内閣改造を終え、〝日本の景氣回復〟への次のステップに進もうとしていた!