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沼澤 拓也(ぬまざわ たくや) 沼澤 拓也(ぬまざわ たくや)

プロフィール

  • 株式会社ピーオーピーオリジン代表取締役
  • 札幌大学非常勤講師
  • POP広告クリエイター技能審査専門委員
  • 札幌商工会議所付属専門学校 非常勤講師
  • 商店街活性化推進調査研究チーム所属

等々、詳しいプロフィールは
オフィシャルサイトに掲載中です。

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【小説】もし日本の総理大臣がPOP広告を描いたら〔第3章〕1

2014.07.20
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〔第3章〕へ突入! 「高大は日本のキャッチコピーに取り組んだ」

第1節―1)

 【あらすじ】 高大は内閣改造を終え、〝日本の景氣回復〟への次のステップに進もうとしていた!

 

 

 内閣改造後、初めての閣僚懇談会の日を迎えた。その前に行われる閣議が内閣にとっては大切であったが、ほぼ進行が決まっている閣議よりは閣僚同士の情報交換が盛んな閣僚懇談会を高大は重要視していた。過日も前閣僚らに〝この国のお客さまは誰か?〟と、問いかけたのもこの場であった。

 通例により内閣総理大臣である高大が議長となり、新官房長官の天田が進行役で閣議が始まった。

 改造後、初閣議とあって高大からまずメッセージが発した。

 「政府の力だけではこの国の未来はありません。先日の所信表明で演説したことが私の思いです。ここにおられる閣僚の皆さんや官僚、そして何よりひとりひとりの国民の皆さんの個の力が日本を成長発展させると確信しております。

 次世代の子供たちに上を向いて引き継げるような日本を創造してきましょう。そのために一致団結、チーム日本としてわれわれも含めた国民の皆さんの潜在力を引き出していこうではありませんか!」

 高大はこの一年間では考えられないリーダーシップを発揮した。

 閣議室は身の引き締まる空氣となり、天田の進行で基本方針や内閣総理大臣が不在時の臨時代理の順位などが決定していった。

 無事初閣議も終わり、引き続き閣僚懇談会となった。

 初閣議の緊張感も解け、お互い会話を交わす和氣あいあいとた空氣へと変わった。このような雰囲氣の中、タイミングを見計らっていた高大が声をあげた。

 「今日は、閣僚の皆さんに決めて頂きたことがあります」高大はこの時を待っていたのだ。

 この瞬間、閣僚の視線は高大に集中した。

 「各省のキャッチコピーをそれぞれの大臣に考えて頂きたいのです」

 「キャッチコピーですか…?」ひとりの大臣が尋ねた。

 「そうです!これまでのキャッチコピーは誰に向けたものなのかが明確ではありません。そこでしっかりと対象をお客さまである〝次世代の子供たち〟へ発信することを目的に刷新します」

 以前、大臣就任にあたり内定者を官邸に呼び、高大は口頭でこの内閣の優先順位の一番が〝景氣回復〟だと伝えていた。そして、その手段として〝POP広告〟を駆使するため、閣僚らに例の本をひとりひとりに与えていたのだ。あわせて閣議の際には必ず持参して臨むことも伝えていた。

 そして過日、国会で国民に問いかけたことや内閣改造に取り組んだキッカケが、この本によることを語りそれぞれの閣僚から理解を得ていたのだ。

 「閣僚の皆さんにはすでに渡してある本の第2章を参考に、大臣自ら〝次世代の子供たち〟に宛てたメッセージとして真剣に考えて頂きたいのです」

 このように高大が告げると閣僚らは本に目を通し始めた。

 反応はいろいろであった。ポジティブに向き合うもの、眉間にしわを寄せるもの、中にはまったく意に介さずという態度のものもいた。そう、前幹事長の園場と同じ派閥のものたちだ。

 高大は内閣改造の際に、仲間から園場に近しい閣僚は一新するべきだと進言を受けていた。

 しかし、ほとんど留任させたのだ。

 あの国会での国民に向けた演説の後、支持はかなり高まっていた。それは権力の強いものが派閥をつくり、その力の論理で政治が動くことに終止符が打たれるだろうと世の中の人たちは願っていたからだ。

 結果は、野党を大臣に据えるこれまでにない人事で辛うじて支持率は上向いたが、半分裏切られたと感じている国民も多かった。

 高大がなぜこのような人事を行ったのか?

 それはこれまでの政治をもっと深く知り、根本から新しくつくり直すために必要であったからだ。

 これまでの一年間である程度のことは学ぶことができていた。しかし、把握しきれないことが一つだけあったのだ。

 それは政治家と官僚の良好な関係であった。

――― なぜ、園場の派閥の大臣は上級官僚と良好な関係が築けるのだろう…?

 唯一、この点だけが解決できていなかったからだ。

 高大も官僚との連携なくして〝日本の景氣回復〟は困難だと知っていた。この大臣らから学ぶことはまだあると感じていたからであった。

 

〔新内閣の閣僚名簿〕

 

◎財務大臣(兼任副総理大臣) … 留任 金山 有三 (園場の派閥) 62歳

◎外務大臣 … 留任 渡 春夫 (園場の派閥) 60歳

◎総務大臣 … 新任 (高大に近い志) 45歳

◎法務大臣 … 留任 (真田の派閥) 60歳

◎文部科学大臣 … 野党 眞鍋 忠司 39歳

◎経済産業大臣 … 野党 末広 明菜 45歳

◎国土交通大臣 … 留任 (他の派閥) 65歳

◎農林水産大臣 … 新任 (高大に近い志) 54歳

◎厚生労働大臣 … 留任 兼行 美保 (政策会長 伊藤望の後輩)

39歳 高大と同年

◎環境大臣 … 留任 江子 正美 ※設定未定(考えないと…)

◎防衛大臣 … 留任 (他の派閥) 55歳

◎復興大臣 … 留任 (他の派閥) 48歳

◎内閣官房長官 … 新任 天田 進 (高大の友人)39歳

◎国家公安委員会委員長 … 留任 (他の派閥) 58歳

 

 野党の議員を大臣に登用したインパクトがかなり大きかった。しかし園場だけではなく、真田の派閥の閣僚も留任したものもおり、そのうえ要職の留任が多かった。特に財務大臣の金山は園場の側近中の側近であり、新内閣の内情は筒抜けであることを疑う余地はなかった。

 この大臣らとどう向き合うか。志ある新任の大臣との融合が課題であった。

 高大は課題をエネルギーにするタイプだった。その課題が困難なほど、良質なエネルギーに変えるキャラクターであった。

 まずは2割の味方を育てることに注力することを決めていた。なぜなら、例の本に次のように記されてあったからだ。

 

―――――――――――――――――――――――

 8割方のスタッフはPOP制作を嫌がります。逆にいうと2割のスタッフはPOPに取り組む姿勢があるのです。このスタッフとともに制作する環境を整えると、賛同者が1人、また1人と必ず増えていきます。そのコツを教えましょう。(p198)

―――――――――――――――――――――――

 

 高大はこのコツを手にしていたのだ。だから自信があった。

 現在、閣僚は14名。そのうちの2割というと3名であった。

 高大は3名のやる氣のあるスタッフ、いや閣僚をすでに味方にしていたのだ。

 

◎文部科学大臣 … 野党 眞鍋 忠司

◎経済産業大臣 … 野党 末広 明菜

◎厚生労働大臣 … 留任 兼行 美保 (○○会長 伊藤望の友人)

 

 やる氣というとまだ難ありだが、味方である閣僚もいた。

 

◎総務大臣 … 新任 (高大に近い志)

◎農林水産大臣 … 新任 (高大に近い志)

◎内閣官房長官 … 新任 天田 進 (高大の友人)

 

 高大はキャッチコピー作成のアドバイスを本を示しながら行った。

 

【予告】 各省庁のキャッチコピーは何なのか?そして日本のキャッチコピーとは何なのか?