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【小説】もし日本の総理大臣がPOP広告を描いたら〔第2章〕6
〔第2章〕 高大は日本のPOPに取り組んだ。
第3節―1)
【あらすじ】 党の定例役員会が終了した後、唯一の女性役員で大学の先輩である政策会長の伊藤望(いとうのぞみ)と情報交換した高大であった。場面は、閣僚が情報交換をする閣僚懇談会へと…
閣議後の閣僚懇談会の席だった。高大は先日の役員会終了時から同様の質問をしようと考えていたので早速閣僚たちに聞いてみた。
「ちょっと良いですか?今日は閣僚の皆さんに質問があります」
通常、閣僚懇談会は閣僚が意見を交換する程度であった。そこに突然、しかもこの一年間はお飾りと言われていた総理大臣が発言したのだ。
「われわれのお客さまは誰ですか?」
役員会のときと同じように静寂の時間がその場を流れた。
「われわれ政府、政権を担うもの、いわばこの国。この国のお客さまって誰ですか?」
高大は閣僚たちとはこの懇談会で意見や情報交換を行っていたので役員会ほどの予期せぬ出来事ではなかったが、質問内容にみんなは言葉を失っていた。
やはり政治にはお客さまという概念などなかったから、みんな見当もつかなかったのだ。
高大はこの質問にかける思いを語りだした。
「私はこれまで皆さんもお分かりのようにお飾りの総理大臣でした。しかし、お飾りであっても権力を与えられているからこそ学ばなければならないと感じています。
この一年間で国民が一番望んでいることが〝景氣回復〟であるとわかりました。その期待にこたえるためまだまだ学びたいと考えています。
そこで実行しようとしたことが〝繁盛店から学ぶ〟ということです。それはなぜなのか?
繁盛店は世の中の景氣に左右されることなく何十年も何百年も商売を続けることができるのはどうしてだろうか?と思ったからです。
日本という国を〝景氣回復〟いわば繁盛させるには、官邸にいるより実際に商売を営んでいる人たちから学ぶしかないと考えています。
これは総理になる前から、いや私は総理になることよりも優先して取り組みたかったのです。
繁盛店に〝景氣回復の真髄〟が必ずあると…。そして何か発見できると以前から確信しておりました。
総理になってから一年が経ちました。国民が〝景氣回復〟を望んでいる今、動かないわけにはいかないのです。
最近の私の行動はそのためです。
そんなときある本と出会いました。それは繁盛店で重要視されている〝POP広告〟について書いてあります。
皆さんは〝POP広告〟をご存じないかもしれませんが、その本の中にはこのように書いてありました。
買い物をするお客さまは「何を必要としているのだろう?」「何に興味があるのだろう?」「何に悩んでいるのだろう?」など、お客さまの立場や都合で考え、制作した広告がPOPです。
ここを読んでとてつもない疑問がわいたのです。
『国にとってのお客さまって誰なのだろうか?』
単純ですが、このことが解決できなければ〝お客さまの立場や都合〟〝お客さま視点〟が理解できずないことになるのです。拡大解釈になるかもしれませんが、日本の景氣が迷走しているのはこれを明確にしていないからであると確信しています」
高大は〝店視点〟と〝お客さま視点〟の違いが比較されている図解についても伝え〝お客さま〟を定義することがこの日本にとって最重要課題であると熱弁した。
高大の熱弁の効果でこれまでの懇談会にはない白熱した論議が交わされた。しかし、わずかな時間で定義できるほど単純なことではなかったため、閣僚たちから明確なこたえはあがらなかった。
――― 伊藤のいうとおり、はやり聞く相手が違ったか…
役員会同様 〝国民〟というところに落ち着きそうになったが、結局は結論はでなかった。
しかし、役員会同様、各閣僚の本質が理解できたことに大きな収穫があった。
今後、〝お客さまは誰か?〟を意識して国政に臨むことを伝え、各閣僚に課題として与えた後、懇談会は終了した。
そして直後、厚生労働大臣の保科にPOP検定のことを調べてほしいと指示した。
【予告】 内閣は臨時国会を召集した。場面は、臨時国会へと続く!
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