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【小説】もし日本の総理大臣がPOP広告を描いたら〔第1章〕第1節-3)
〔第1章〕 高大は『繁盛店が必ずやっているPOP 最強のルール』と出会った
第1節―3)
この1年で何かが変わり始めた高大は、本氣で数人の閣僚や議員に参考のため意見を求めた。
副総理の真田憲人(さなだ のりひと)は、次のようにこたえた。
「それはさすがにムリじゃないですか。問題は〝景氣回復〟だけではないですからね。外交や防衛、年金など、取り組む課題が多種多様にあります。それでなくとも日本は、今回の金融緩和策で外国から目をつけられていますし、景氣回復するには、こうしたすべてが連動していますからあまり官邸を混乱させずにできることに目を向けた方が良いです。〝繁盛店から学ぶ〟総理のあなたがそれをするというお話は、あまりにも現実とかけ離れていますよ」
財務大臣の金山有三(かなやま ゆうぞう)は、次のようにこたえた。
「それは正直厳しいです。今の大臣たちは、〝景氣回復〟のために国会議員をやっているわけではないですからね。お金だったり、名声だったり、老後の思い出を作るためだったり…後は、親がやっていたからという惰性とか、他にやることがないからって議員もいますし。そういう連中に一番理解されない〝学びたい〟と言ったって、誰も理解しないんじゃないですか」
最後に尋ねた初入閣の厚生労働大臣、兼行美保(けんこう みほ)はこう言った。
「〝繁盛店から学ぶ〟ですか?私には意味がわかりません。それが何になるのか…」
そう言ったきり、彼女は何もこたえなくなってしまった。
結局、高大の考えに賛同したり、協力を申し出たりする人間は、一人もいなかった。今の閣僚たちは体調を崩した前総理のときに就任したものたちであった。
国民からの支持は得られないが、高大が議員らから人氣があった理由は、さして敵がいないことであった。派閥にも属さない一匹狼であった。一匹狼と聞くと何か周りからは一目置かれる存在のように捉えられてしまいそうだが、そんな強さはまったく感じれなかった。
今回の総理大臣就任も派閥争いで混迷をきたし、最終手段として敵のいない無派閥の高大をとりあえず据えたのだ。党を守るための苦肉の策であった。この国にとっては悲劇であった。
敵がいない代わりに高大には味方もいなかったのだ。
ただ唯一と言ってよい同じ歳の友人で同期議員の天田進(あまだ すすむ)は次のようにこたえた。
「う~ん、それはやっぱりまだ早いと思うよ。氣持ちは分かるけど、へたに国民に期待をさせると、かえって出来なかった時のショックが大きくなるんじゃないか?それだったら、初めから大きなことは言わないで、もう少しこの政権を安定させることに力を尽くした方が高大のためだよ」
助言に納得した様子の無かった高大をみて、続けて尋ねてきた。
「おまえ、本氣なのかよ。本氣で政治生命をかけるつもりなのか?あのことはもういいのか?……」
しかし高大は、進のことをジロリとにらむと、言葉を遮るように言った。
「誰かに余計なことしゃべったら、許さないからな」
「それは……わかってるよ」と、進はこれ以上このことについて話すことをやめた。
結局、友人からも理解は得られなかった。
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